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家族にも、地球にもやさしい『信州健康ゼロエネ住宅』

取材日:

家族にも、地球にもやさしい『信州健康ゼロエネ住宅』
新築 北信
施主

佐藤さん一家 ご主人、奥さま、お子さま

「信州健康ゼロエネ住宅」とは、高い断熱性能と耐震性能を備え、構造材や仕上げ材などに県産木材を使用するとともに、自宅で使う電気は再生可能エネルギー設備でまかないエネルギー使用量は、実質ゼロを目指す、地球温暖化防止に貢献する住宅です。

家族の「Good Life」をコンセプトに家づくりをする中野市の武田建設で「信州健康ゼロエネ住宅」を建てた佐藤さん。きっかけは同社が開いた家づくり勉強会。そこで断熱性能の重要さを知り、新築を決めました。

断熱性能が高い家では外気温の影響を受けづらくなるため、夏でも涼しく、冬は暖かい、一年中快適な室温環境が整います。冷暖房などで使う電気使用量が抑えられ、省エネルギーな暮らしが可能です。さらに日中はCO2を排出する化石燃料由来(石油•石炭•天然ガス)の電気に代わり、太陽光発電設備で電気を自給自足。実質ゼロエネルギーで家計にも、地球にもやさしい暮らしになりました。

県産木材を使用し、家族にも環境にもやさしい暮らし

天井

(吹き抜けリビングの天井の羽目板は長野県産のスギ)

長野県の豊かな森林資源とその循環利用をつなぐ「信州健康ゼロエネ住宅」。家づくりに地元の木を使うので、海外などからの木材運搬にかかるCO2排出量が削減されます。さらに地域林業や地域経済の活性化、森林が整備され良い樹木が育つサイクルの持続へ寄与。そして樹木は成長過程で地球温暖化の原因とされるCO2を多く吸収します。

佐藤さん宅で使用される土台のヒノキ、柱と天井の羽目板のスギ、耐震強度を増す構造用床合板の針葉樹は全て県産材。太い梁(はり)も一部、県産のスギです。

地元で育った木は、その土地の気候•風土に適しているため、丈夫で長く住める家に仕上がりました。

風の流れと日射を生かすパッシブ設計で、太陽高度が上がる夏は計算された軒寸法により、南の吹き抜け窓からの日光の侵入をしっかりと防いでくれます。

冬は太陽高度が下がるので、吹き抜けのリビングに太陽の光りがたっぷり届きます。

「木の家は見た目も温かみを感じますし、落ち着きます。実際、床は無垢にしていただいたので温かいです。日が入るとなおさら温かくて、娘は床にごろんとしたり。娘と私は、冬でも裸足です。」と奥さま。

アカシアのフローリングの上で歌ったり、踊ったりする娘さんを見るのが好きだというご主人。家族3人、木の家をとても気に入っています。

室内

(太陽高度があがる夏は日射を遮蔽(しゃへい)するよう南に軒を出し、太陽高度が下がる冬は南の窓から日射を取り入れるパッシブ設計)

高断熱高気密で省エネルギー、CO2排出を低減

CO2などの温室効果ガスの量が増えたことが原因のひとつとされる地球温暖化。2023年夏、日本の平均気温は統計開始以降、最高を記録。各地で30度以上の真夏日、35度以上の猛暑日が連日観測されました。

(中野市にはアメダスが設置されていないため最寄りの)飯山の2023年8月の気温を気象庁のデータで見ると、35度以上の猛暑日は16日ありました。

冬季の中野市は、マイナス10度以下の厳しい寒さの日もあり、積雪の多い地域です。

「以前のアパートは断熱性能が低かったので冬、本当に寒過ぎて、ここで暮らすのは無理、体感だと外と同じと感じていました。」と話す奥さま。

ご主人も「よくいた部屋は暖房をつけているのでよかったんですけど、ドアを開けて移動するとき、寒くてダウンとか着ていました。冬は寒過ぎてヒートショックだったり、夏は暑い中で熱中症になったりするのが心配で。」

夏、エアコンが稼働しているリビングの隣のキッチンで火を使うとき、あまりの暑さで奥さまが温度計を見ると32度ありました。

新築する際は、外気温の影響を受けづらい、夏でも涼しく、冬は暖かく過ごせるよう断熱性能を重視。

「信州健康ゼロエネ住宅」では、最低基準でもUA値0.5〜0.4といった高い断熱性能が求められます。冷暖房負荷が少なくなるので、CO2を排出する化石燃料由来の電気使用量が抑えられることもメリットです。

(※UA値=室内と外気の熱の出入りのしやすさの指標で、数値が低いほど高断熱。UA値は国内各地域で温度環境などが異なるため、1〜7の地域別に分けられている。中野市(4地域)の省エネ基準のUA値は0.75、ZEH水準のUA値は0.6です)

佐藤さん宅では、基礎断熱に厚さ100ミリの押出法ポリスチレンフォーム3種、壁には外断熱として厚さ40ミリの押出法ポリスチレンフォーム3種と室内側に厚さ105ミリの吹付発砲ウレタンA種3、屋根断熱には厚さ280ミリの吹付発砲ウレタンA種3で施工、家中を断熱材で包みました。

窓も断熱性能の高いペアガラスの樹脂サッシを採用し、UA値0.27•断熱等性能等級6で「信州健康ゼロエネ住宅」推奨基準に適合。

(※断熱等性能等級は1〜7まであり数値が高いほど高断熱になる。省エネ基準の断熱等性能等級は4、ZEH水準は等級5です)

換気システムには、熱交換換気システムを導入。熱交換効率90%のものを選んでいるため、冬、外気温が0度、室温20度の場合、0度の外気は室内の20度の空気と熱交換され、新しい空気が18度になり室内に入る仕組みです。

夏は外気温35度、室温28度の場合、35度の外気は室内の28度の空気と熱交換され28.7度の新しい空気で換気されることになり、冷暖房機器は省エネルギーで済むように。

平成28年省エネ基準との光熱費比較表とグラフ

(UA値0.75の省エネ基準の住宅とUA値0.27の佐藤さん宅との年間光熱費•消費電力を比較。電気料金単価40円、太陽光発電は加味しない計算結果。黄色の消費電力の合計分を太陽光発電でまかなうとゼロエネになる)

これはUA値0.75の平成28年省エネ基準の住宅とUA値0.27の佐藤さん宅の年間光熱費•消費電力を比較、シミュレーションした結果です。UA値0.75の家では10,547kwhに対しUA値0.27の佐藤さん宅では6,343kwhとなり4,204kwhを省エネしたことになります。金額にすると168,168円の節約。

断熱性能が高いと省エネルギーで済むのでCO2排出を抑制し、光熱費も安くなるというのがシミュレーションでも分かりました。

断熱性能の高さで冬の電気代を削減

家の冷暖房は2階に設置されたエアコンと1階の床下エアコンの2台。冬場はどのような暮らしになるのでしょうか。

「日中、リビングは日の光りが十分入るので床下エアコンは朝5時半くらいから8時半くらいまでしか使っていないです。暖かいので娘は昼寝を畳でするんですけど、温度計を置くと1月でも晴れた日はエアコンなしで24度に。Tシャツ1枚で過ごすこともあります。」と奥さま。

高断熱高気密の家は、部屋と部屋の温度差も少ないためヒートショックの心配もなくなりました。

日中は、太陽の光りが2時くらいまで入るので照明はつけず、電気代の節約にもなっています。

暖房や給湯利用が増えるため1年の中で最も光熱費が増える冬、気になる電気代は―。

「2023年1月、アパートのときの電気代は25,316円、ガス代10,702円でした。今度の家はオール電化になりましたが、2024年1月の電気代は23,596円と12,000円ほど安く。」とご主人。

モニター

(リビングに設置される、太陽光発電の利用状況などを見える化したモニター。2024年1月の買電額は約25,191円)

断熱性能の高さ+太陽光発電で夏の電気代も削減

夏場のエアコンの冷房状況を伺うと、

「日中、外気温が32度〜36度くらいの時間帯は、外の日射を入れないようカーテンをしめ、設定温度26度で床下エアコンをつけます。天井のファンを回し空気を循環させるので、家中、涼しく快適になります。特に暑い日は2階のエアコンも12時〜15時くらいまで回すので、熱中症の心配はまったくなくなりました。」とご主人。

夏の暑い日でも快適に料理ができるようになった奥さま、おかげでレパートリーも増え、食卓はいつもにぎやかです。

2台のエアコンを使った気になる8月の電気代は—

「アパートのときの2022年8月の電気代は8,700円、ガス代4,900円で、この家の2023年8月の電気代は6,900円と以前より下がりました。さらに太陽光発電による売電もあり、約9,480円でした。」とご主人が教えてくれました。

モニター

(モニターで見ると8月は電気消費量575kwhに対し太陽光発電設備による発電量は853khwで買電額は約6,752円、自給率=発電量÷消費量×100=148%)

化石燃料から、クリーンエネルギーへ

ソーラーパネル

(佐藤さん宅では5.33kwの太陽光発電設備を搭載)

「枯渇せず永続的に利用できる」「地球温暖化の原因にもなる温室効果ガス(CO2など)を排出しない(増加させない)」ことが特徴の再生可能エネルギー。そのひとつ、太陽光は環境をよごさないクリーンエネルギーです。

佐藤さん宅での2023年(春から入居のため)5月から12月までの太陽光発電設備による実際の発電と家庭での消費状況をモニターで見ると発電量4,771kwhに対し消費量は3,992kwhで自給率120%でした。環境にもやさしい暮らしです。

モニター

(2023年春から入居のため5月〜12月までの表示。消費量3,992kwhに対し発電量は4,771kwh。自給率=発電量÷消費量×100=120%)

日射量が多い夏に比べ、冬は雪が積もると発電しませんが、晴れて雪が解けると再び発電します。

「中野市は雪も降りますが、翌日には晴れることも多いです。」とご主人。

冬場も含めた太陽光発電の年間発電量をシミュレーションしてみると4,629kwhになりました。

09.jpg

(5.33kwの太陽光パネルを載せた佐藤さん宅の年間発電量をシミュレーション)

災害にもしなやかに対応。温暖化する地球を守るための信州健康ゼロエネ住宅

佐藤さん宅では災害時に停電したときでも、太陽光発電のある日中は、冷蔵庫の近くに設置した非常用電源から冷蔵庫に電気を供給できるようになっています。携帯電話の充電もできるため、災害情報や外部との連絡が絶える心配もありません。

今後、蓄電池を導入すれば発電した電気を蓄え、夜間利用も可能になります。

耐震については、許容応力度計算により壁倍率と床倍率を計算し、耐力面材と筋交(すじか)い、耐震金物をバランスよく施工。(建築基準法の1.5倍の耐震性能の)耐震等級3相当の地震に強い家になっています。

「自分が出産で里帰りしていた時に集中豪雨が続いたんですが、妊娠しているからすぐ逃げられない怖さがありました。地震もそうですけど、これからは温暖化の影響もあり、何があるか分からない。まだ娘も小さいので、避難指示が出る大きな災害以外は、安心して住めるところがいいですよね。温暖化防止に貢献する、地球にもやさしい家に住んでいるんだなと気持ちもいいですし、もっと『信州健康ゼロエネ住宅』が増えればいいですね。」と話す奥さま。

娘さんは、きょう一番の笑顔になり、奥さまもやさしい表情に。隣には、いつも娘さんの健やかな成長を見守るご主人。

「信州健康ゼロエネ住宅」で家族3人、グッドライフを過ごしています。

佐藤さん一家 ご主人、奥さま、お子さま

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